にゃお〜ん

とほほな日々


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おニューの威力
 先日、友人たちとの待ち合わせ場所を、ミナミの引っかけ橋にしようと決めた時、いわゆる「ナンパ」話に花が咲いた。 「ナンパ」なんてものは若い子の特権、コギャルの独壇場と思っていたのだがどうやらそうでも無いらしい。
友人の一人の話しだが繁華街を歩いていると、後ろを歩く中年の男性がぶつぶつ何か喋っているので耳をすますと、「お茶でも飲みに行きませんか」と一心不乱に繰り返していたそうだ。その誘いが自分に向けられていることに気づくと気持ち悪くて仕方がなかったそうだが、その話を皮切りに「実は私も…」と幾つかのナンパ話を耳にした。
 もちろんナンパされたその時は気持ち悪かったり、恐かったりで、のこのこ付いていく気にはならないのだろうが、後になって考えると声を掛けられた事自体にはまんざらでもない女の人も多いのではなかろうか。
コギャルだった頃からルックスに恵まれていなかった私は、ナンパ師もよけてとおる学生時代を過ごしていた。友人たちの「電車の中で声かけられた」だの「バス停で待ち伏せされた」だのといった話の中に、迷惑そうながらどこか誇らしげな様子を感じていた私は「いつかきっと私だって…」と訳のわからん対抗意識を燃やしたものである。

学生時代も卒業しOLになったある日、その日は抜けるようなあざやかなブルーのブラウスに白い麻のスーツといった上から下までおニューの服で決めたつもりの私は、鼻歌交じりの帰宅途中「一緒にお茶飲んでくれませんか」と声をかけられた。固辞する私に「一人で喫茶店に入れない」「怪しいものじゃない」と敵もなかなかしぶとい。おニューの服の威力の凄さに驚きながらもなにせナンパ初体験、若気の至りの私は敵の押しの強さに根負けし、目の前のファーストフード店ならとコーヒーを付き合うことにした。
 「いやぁー無理いってすいません。助かりました。」と、がぶがぶコーヒーを飲んでいるナンパ師に「あんたまさか本当にコーヒーが飲みたかっただけなのかい」とも聞けず「おかしな事になっちゃったなぁ」と思っていると、ガサゴソ鞄の中を掻き回して「これ、お礼です。こんな物に興味無いですかぁ。」とナンパ師は小さな箱を取り出し、テーブルの上に置いた。続いて取り出したパンフレットにはでかでかと「これであなたも標準体!絶対痩せる驚異の薬」と書かれてあった。どうだ参ったかと言わんばかりのナンパ師の笑顔に「おニューの威力」がガラガラと音をたてて崩れていくのを感じながら、どうやってその場を立ち去ったのか…。
「ナンパされたらキャッチセールスと思え」という新たな教訓と引き換えにおニューの服は箪笥の奥深くしまいこまれたのである。
1997/7/27 UP
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